門別競馬場ガイド

競馬用語集

や行

焼く(やく)
焼烙(しょうらく)療法といわれる馬の治療法のことで、馬のお灸と思えばよい。とくに筋肉、骨膜、関節などの炎症で薬物療法などで治らない慢性的なものに効果がある。以前は鉄や銅で出来た器具を灼熱して使用していたが、現在は電気式の器具が使われている。パドックなどで注意してみると脚に乾パンの穴のように点々とした跡があるが、これが焼いた箇所である。
安目(やすめ)を売る
発馬で出遅れること。はっきりした出遅れでなくてもアオッたり、他馬に寄られたりして、スムーズにスタートが切れなかったときに「安目を売ってしまって…」という使い方をする。
やね
騎手のこと。乗り役、鞍上とも呼ばれる。乗り役の項参照。
ヤマキズ
馬が育成時に牧場で負った傷のこと。競走馬となってからもその傷痕が残っている場合に“ヤマキズ”と呼んでいる。
稍重(ややおも)
馬場状態を表す言葉のひとつで、『良』と『重』との中間の状態を指す。馬場状態の項参照。
マッチレース
競馬の起源といわれる競走方法で2頭の馬がその雌雄を決するために一定の距離で争うもの。英国では16世紀ごろから貴族が自分の持ち馬に賭け、盛んにマッチレースを行ったといわれている。現在日本の競馬では登録制をとっており一対一の競走はないが、多頭数出走していても2頭だけが図抜けて強いときには「このレースはマッチレースだ」などと使われる。

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輸送競馬(ゆそうけいば)
栗東、美浦の各トレーニングセンターから競馬場へ当日(前日のこともある)輸送して競馬に出走することを“輸送競馬”といっている。これに対し、ローカルなどその競馬場で調教して使うことを“現地競馬”という。馬運車で当日輸送する場合でもかなりの時間を要するため、神経の敏感な馬はこの間に気を遣い、馬体重が減ることがある。これを輸送減りというが、何回か輸送を経験するうちに輸送減りが少なくなる馬も多い。
誘導馬(ゆうどうば)
パドックから本馬場のゴール板まで競走馬の先頭及び最後方から各馬を誘導する馬のこと。誘導馬は競走から引退した外見美しい馬(芦毛か栗毛が多い)が乗馬の調教を受け、務めていることが多い。
ユニット馬券(ばけん)
勝ち馬投票券(馬券)の最低金額を固定し、複数の組み合わせを1枚で購入できる勝ち馬投票券のこと。中央競馬では現在はすべてこのユニット馬券になっている。
輸入種牡馬(ゆにゅうしゅぼば)
内国産(日本で生まれた)種牡馬に対し使われる言葉で、良血を求めて外国から輸入した種牡馬のこと。戦後は昭和27年から輸入が開始されている。日本の競馬は輸入種牡馬によって改良されてきており、現在大活躍しているサンデーサイレンス、ブライアンズタイムなども輸入種牡馬である。
ゆるむ
「足もとに少し熱があったので休ませたら馬体がゆるんだ」などというように、病気などで調教を休んだり加減(控え目にする)して充実した馬体の調子が下がっていること。またゆるめるという場合は使い込んだ馬や、夏負けなどで不調におちいったとき、馬に休養を与え立て直すこと。体力の回復を待って一から仕上げていくことで、一度ゆるめると出走させるまでにはかなりの日数がかかるものだ。

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よじれ
ばんえい競馬のコースには障害の坂があるが、馬がこの坂を登るときに前進するのを嫌がって左右に免れること。
預託料(よたくりょう)
馬主が調教師に馬の育成、調教を委託したときの預け賃。預託料は各馬によってかかる経費も異なるし、厩舎によっても異なるので一定の値段ではない。また当歳、1歳馬を購入、厩舎に入ってくるまでの牧場での飼育、調教などを任せている間の費用についても預託料といっている。
呼馬(よびうま)
日本の競馬は“くじ馬”といわれる抽せん馬によって成立を見たわけだが、この抽せん馬に代わって登場したのが呼び馬である。これは各馬主が直接購買した馬でサラブレッドの自由購買馬のことである。当然のことだが競馬の規模が拡大するにしたがい、これの占める比重が高くなっていった。戦前は番組のうえでも抽せん馬と分けて呼馬といっていたが、現在は使われていない。
夜目(よめ)
拇指が退化したものといわれるもので、前膊部(人でいえば手首と肘の間)の内面及び飛節の内後面に付着する褐色の塊をいう。馬には必ずあるもので、学名は附蝉(ふぜん)といい蝉が木にとまっている姿に似ていることからでた言葉。その形態、表面の紋様、大きさなどが人の指紋のように馬ごとに異なっているので、個体鑑別に用いている国もある。この夜目には諸説あるが、馬は元来5指をもつ動物であって、これが進化の途上、拇指及び小指を必要としないことで失い現在では中指のみで体を支えているとされている。人さし指、薬指は管部に痕跡となって残っている。
よれる
馬が斜行することを表す言葉のひとつで、“ささる”“ふくれる”などが気性的なもの(ハミ受けが悪くて斜行する)に使われるのに対し、“よれる”という場合は追われて一杯になりよろけるといった意味合いで使われることが多い。いずれにしても直線での馬の斜行をさす言葉なので“ささる”と“よれる”の使い分けは難しく曖昧になってきている。